アメリカにおける小児心臓移植の現状移植医療先進地からみえるもの

摘要

2010年7月，1週間と短い期間ではあったが， コロンビア大学モルガンスタンレー·プレスビテリアン小児病院の移植チームを見学させていただいた.この病院は，1984年に小児心臓移植プログラムを立ち上げ，以来26年の長い歴史を持ち， 全米でも小児の心臓移植ではトップクラスの病院である.複雑心奇形や，ABO非適合等，非常に難しい症例を扱っていることでも有名な病院だ. 2009年，拡張型心筋症で補助人工心臓を着けた患者さんを一人搬送したこともあり，Dr. Addonizio は快く私の見学を引き受けてくださった.そこで前半は，モルガンスタンレー.プレスビテリアン小児病院移植チームを見学させていただいた経験をもとに，米国における小児心臓移植の流れを概説し，後半は，ニューヨーク（NY)のOrgan Donor Network(0P0)のディレクタ一であるDr. Goldstein のインタビュ一をもとに，移植医療を支えるドナ一確保のための仕組みについて述べる.