長場紘著『トルコから見たユーラシア--経済連携を中心に』

摘要

先日、トルコのイスタンブールに調査出張に出かける機会があった。調査テーマは黒海周辺諸国間の経済関係だったのだが、個人的にトルコを訪問するのは初めてである。考えてみれば、トルコという国そのものについては、たとえば今日の政治体制がどうなっているのかということすら、私にはよく分からない。時あたかも、エジプト革命が周辺国に波及しつつあった頃で、ひょっとしたらイスラム国で地理的にも近いトルコにも何らかの影響が及ぶのでは、という不安が頭をよぎった。というわけで、トルコ出張を前に、できる限り予備知識をインプットしておこうと思い立ち、手に取ったのがこのブックレット『トルコから見たユーラシア』だった。トルコの国情を解説しつつ、その延長上で同国とロシア·中央アジア·コーカサス諸国の経済関係について語るというその内容は、まさに私のトルコ出張の予習に打って付けだった。