金属の環境中動態における鉱物と微生物の役割

摘要

地球環境の保全は、人類の生活レベルの維持向上とのバランスを考慮しながら進めて行くべき問題であり、全地球規模で真剣に取り組んで行くべきである。 一方、人類が現在の生活レベルを維持するためには資源を消費する必要がある。 保全の観点から考えると資源をリサイクルして恒久的に使用していくことが望ましい。 しかし、資源を消費する際には必ず使用できないもの、すなわち廃棄物が発生する。 高レベル放射性廃棄物（以下、高レベル廃棄物）は、原子力発電によりエネルギーを得る際に発生する廃棄物の一つである。 発電所などで生じた使用済み燃料の再処理過程で発生するもののうち、ウラン、プルトニウムなどを抽出して最終的に残るものを高レベル廃棄物と呼んでいる。 現在は、使用済燃料を酸性溶液で溶かす処理を施しているため、液状の形態をしている。 高レベル廃棄物は、ステンレス製の容器中で溶融されたガラスの原料とともに固化され物理的にも化学的にも安定な形態に処理される。 我が国においては100万kWe級の発電用原子炉を1年間運転すると高レベル廃棄物ガラス固化体に換算して30本発生する。 高レベル廃棄物の特徴としては、放射能レベルが高いこと、危険度が長期間（数万年以上）継続すること、他の廃棄物と比較して発生量がきわめて少ないことである。 したがって、高レベル廃棄物の処分を考える場合、人間の営みの時間尺度を越えた「長い時間」について検討する必要がある。