建築部門の低炭素化に向けて

摘要

本著が発行される頃はパリ協定が発効しているであろうか．我が国はパリ協定の約束草案で2013年度を基準として2030年時点で26%の温室効果ガスの削減を掲げている．そのためには，民生部門（＝業務＋家庭≒建築部門）で約40%の削減が必要である．IPGC第4次作業報告書第3部会報告書（図1）によると，建築部門の温室効果ガスの削減ポテンシャルが最も大きく，削減量を増やすには大きな追加的コストを要する産業部門と比べると，建築部門は比較的小さな追加的コストで大きな削減量が得られるとされている．一般に，建築物のエネルギー消費は①建物性能，②設備機器性能，③使われ方によるとされることから，特に③については省エネ意識の向上，省エネ行動の実践と定着が必要不可欠であり，追加的コストは比較的小さくて済むかもしれないが，容易ではない．