微細藻類からのバイオ燃料製造

摘要

藻類は，単細胞の緑藻や珪藻（微細藻類）や多細胞の大型藻類（いわゆる海藻）など多様な光合成生物の総称である．従って，藻類から生産できるバイオ燃料も多岐にわたる．例えば，大型海藻は多糖を蓄積するという点では陸生植物と同じであり，バイオエタノール原料として利用が可能である．本稿では，細胞内にオイルを蓄積する能力に優れた微細藻類に焦点を絞り，液体燃料としてのバイオ燃料の生産について述べる．藻類バイオマスは，食糧との競合がないこと，二酸化炭素の排出削減効果が見込めることなどから新たなエネルギー資源として期待されている．特に，微細藻類の高いオイル生産性は，最も魅力的な特徴である．表1に各種高等植物と微細藻類によるオイルの生産性の比較を示す．すでにバイオ燃料生産に利用されている陸生植物と比較しても，微細藻類によるオイル生産性は桁違いに高い．それに伴って使用耕地面積も少なくてすむ．一方で，藻類は水生バイオマスであり，生育には膨大な水資源の確保が必要である．本稿では，水生バイオマスとしての微細藻類利用と燃料生産についての現状，課題について言及し，今後の展望を述べる．