資源環境·エネルギーミニマム型システム(2)－科学技術振興機構大型プロジェクト研究から：リチウムイオン電池における界面イオン移動

摘要

産業革命以来のエネルギー消費の飛躍的な増大はその多くを石炭，石油，天然ガスなどの化石燃料資源に頼ってきた．いま，現代社会はエネルギー資源と環境の両面から，大きな問題に直面している?それは途上国の急速な発展を含む化石燃料消費の急増とその資源量の限界に加えて，排出される二酸化炭素による地球温暖化である．後者については議論のあるところではあるが，私たちの持続的発展を阻害する制約として前者より早く限界に達するとの意見もある．地球規模の植物の光合成による二酸化炭素の固定量の10％近くの二酸化炭素を燃焼から排出する状況は確かに危惧されることである．本稿では，HEVなどの高出入力を要求する用途へ適用するためのリチウムイオン電池のレート特性の向上に必要なリチウムイオン電池の反応速度を律する界面イオン移動について筆者らの研究を例にとって解説する．