世界水ヴイジオンが提起する世界の水資源問題

摘要

第3回世界水フォーラムが，2003年3月22日世界水の日を挟んで，京都市，大津市，大阪市で開催される．第2回世界水フォーラムで提案された世界水ヴイジオンは，2025 年の地球水環境，水資源を予測して人々が水の問題に真剣に取り組むように求めている．第3回は，その提案に基づく行動を議論することになっている．しかし世界水ヴイジオンそのものの理解はまだ不十分である．世界水ヴイジオンは，地球気候変動·温暖化の影響と途上国の人口増，工業化は不可避的に深刻な水資源問題を生じることになると指摘している．その解決策は，技術革新も必要であるが，何より水に関する諸制度·法律·行政組織の大幅な改革と，財政制度の革新が必要であると指摘している．ヴイジオンの提示以来，国際世論は二つの流れに分かれて，厳しい対立の兆候が見られる．一つの流れは「水は天から降ってきて誰もが等しく，無料で使用できるものである」とする立場と，他の流れは「水に価格を設定し水を利用することで生じる全てのコストを価格に反映する」ことを求める立場である．