バイオディーゼル燃料製造のための油脂資源の現状と展望

摘要

これらの油脂の性質はBDFに変換しても受け継がれるため，冬季の寒冷地での使用を考える場合，不飽和脂肪酸組成の高い油脂の方が原料として適している．しかしながら，不飽和度が高すぎると酸化安定性を損なうため，燃料製造時や長期保存時の劣化に注意する必要がある．このため，BDFの脂肪酸組成には適度なバランスが必要である．以上のように，我が国においてBDFの普及を目指すためには，①廃油脂発生状況とその資源量，および②廃油脂の種類と性状（不純物や脂肪酸組成などの情報）に関する基礎的な情報が不可欠である．そこで本研究では，まず統計資料やヒアリング調査を基に，我が国で年間に発生している廃油脂の資源量を推定した．また，様々な廃油脂発生サイトから廃油脂検体を実際に採取し，性状調査を行った．さらに，これらの調査·研究結果を基に，我が国における廃油脂からのBDF生産の可能性について考察した．