資源環境·エネルギーミニマム型システム(2)－科学技術振興機構大型プロジェクト研究から：家庭用燃料電池実現のための新たな高効率天然ガス改質システムの構築

摘要

固体高分子型燃料電池は移動体電源及び家庭用分散電源としての普及が期待されている．現在，一部商用化が開始された1kW級の家庭用燃料電池において，燃料である水素は天然ガスを主成分とする都市ガスを水蒸気改質することによって製造される．水蒸気改質法は，エクセルギーの増進をもたらす優れた改質技術であるが，さらなる始動特性の向上やコンパクト化が要請されている．最近，新しい天然ガス改質方法として起動性に優れた「酸素透過性セラミックスを利用した部分酸化法」が注目されている．平成12年度に開始された本研究プロジェクトでは，酸素透過性セラミックスを用いた改質部と高温プロトン導電体を用いた水素分離部からなる新規な高効率天然ガス改質システムの構築を目指して，新規材料の開発，改質装置の試作，システム解析等を実施している．本稿では，研究プロジェクトの概要とこれまでに得られた成果について紹介する．