INNOTRACK（Innovative Track Systems）プロジェクトの紹介－2011年度のJREA海外鉄道技術交流調査団からの報告

摘要

鉄道が環境にやさしい有力な交通手段であることはグローバルに共有化されているが、日本においては、新幹線および在来線の一部を除いて既存線路を維持するために事業者のなみなみならぬ努力が費やされている。それは、鉄道が他の輸送モードと比較して利用者一人当たりのコストが高止まりしていることに原因があると考える。例えば、自動車においては、多様なガソリン車の登場、ハイブリッド車両、電気自動車の開発、単位燃料による航続距離の増大等が実現し、利用コストが低減してきている。したがって、鉄道システムを維持発展させるためには、ライフサイクルコスト（LCC：Life Cycle Cost）の低い設備の開発導入とインフラ設備のメンテナンスコストの低減が最大の課題になっている。この課題に、UICでは、多くのインフラ管理者、鉄道関係者と一体となって鉄道分野の新たな技術や標準化について取り組んできている。その中心のプロジェクトが今回講演のあったイノトラック「INNOTRACK」プロジェクトであり、軌道のメンテナンスと更新の手法として新たな製品やプロセスを導入して、コスト縮減に変革をもたらそうとしている。