迅速な企業情報システムの構造についての提案と実現性

摘要

近年、企業環境の著しい変化に伴い、各企業にとって、経営環境は一層厳しくなっている。 企業環境の変化に対して、企業は自らを政策、戦略、戦術、操作の各レベルで対応させて適応する。この変化への迅速な対応能力、すなわち「企業速度」を向上することが、厳しい企業競争下で企業を発展させるために不可欠となっている。 一方、企業の様々な活動を情報の面から支えるのが企業情報システムであり、企業速度の主要構成要素となっているが、この企業情報システムそれ自体も、企業環境の変化及びそれが惹き起こす企業内部の変化に迅速に対応できることが、企業速度向上のためには、不可欠である。 筆者らは、企業速度向上のために企業自体の取りうる対応を分析し、対応の変化の速度に応じて3階層に分類した。 そして、企業情報システムのビジネスロジックをこの階層で構成することにより、変化への迅速な対応を目的としたソフトウェア構造の方式を提案した。 本稿では、その提案の実現性を探るため、ある例題について、ビジネスロジックを3階層化するソフトウェア構造の概略設計を行った。 それによると、3階層化の実現は可能であると判断されるが、本提案の実現性の詳細、有効性についての検証は、今後の課題である。