フィルタ補正逆投影型前処理を用いた高速な統計的CT画像再構成法

摘要

統計的手法は雑音の統計的性質を考慮できるが，反復計算が必要であり，また収束が遅いことから計算量が膨大になるという問題がある．そのため，収束を高速化させる研究が重要となっており，そのひとつとして前処理を用いる手法が存在する．前処理は反復法の収束率に関係する条件数を改善する方法であるが，従来の前処理を用いた画像再構成法は，画像空間上で畳み込みが必要であるため，反復1回あたりの計算量が多く実用的ではない．本研究では，非線形計画問題における双対性に基づき，投影空間上で前処理を施す新たな手法を提案する．提案手法における前処理は，解析的手法のひとつであるフィルタ補正逆投影法のフィルタ関数と同等の役割となり，従来の前処理を用いる手法よりも計算量の増加を抑制できる．