自動車運転場面におけるリスクティキング行動に関する研究一行動観察と意識調査の両側面から－

摘要

交通心理学においては，ドライバーのリスクティキング傾向について，その一貫性が議論されてきた．本研究では，無信号T字型交差点における観察調査と，運転技能の自己評価を訊ねる質問紙調査が行われた．観察調査の結果　 交差点場面に現れる多くの行動指標の結果に有意な関連が見られた．また，同一ドライバーの複数回の行動にも一貫性が認められ，他車両や歩行者がある場合にはない場合に比べて安全な行動をとることが示された．これらの結果を踏まえ「安全意識ベース運転行動スキーマモデル」を提唱した．また，質問紙調査により運転技能の自己評価を測定したところ，免許取得後3から5年のドライバーについて，運転技能の自己評価が高まり運転の安全水準が低下することが示された．