下りリンクブロードバンドOFCDMにおけるQoSを考慮した適応無線パラメータ制御

摘要

本報告では，下りリンクブロードバンドOFCDM (Orthogonal Frequency and Code Division Multiplexing)パケット無線アクセスにおけるQoS (Quality of Service)を考慮した適応無線パラメータ制御方式を提案する．提案方式では無線パラメータセットとして従来の適応変復調·チャネル符号化方式におけるMCS (Modulation and Coding Scheme) セットに加え，伝送遅延に対するQoS要求条件に応じたハイブリッドARQ (Automatic Repeat reQuest)の最大再送回数を含むことを特徴とし，さらにQoS要求条件の異なるトラヒツククラスに応じた異なる無線パラメータセット（MCS セットおよび最大再送回数の組）を用いて，平均受信SIRや遅延スプレッド等の伝搬路状態に応じた適応無線リンク制御を行う．シミュレーション結果より，非実時間型(NRT: Non Real Time)クラスデータに対しては，QPSK（チャネル符号化率R＝1/2），16QAM (R＝1/2，3/4)，の3通りのMCSセットがスループット向上の観点から適していることを明らかにした．一方，実時間型(RT: Real Time)クラスデータに対しては，ハイブリツドARQの最大再送回数が2の場合，QPSK (R＝1/3, 1/2)，16QAM (R＝1/3, 1/2, 3/4)の5通りのMCSが所要残留パケット誤り率(PER: Packet Error Rate) 最小の観点から適していることを明らかにした.さらに，提案するQoSを考慮した適応無線パラメータ制御法は遅延に対する要求条件（すなわち，ハイブリッドARQの最大再送回数）に応じてMCS選択閾値を適切に制御することにより実現できることを示した．