ネットワーク化制御システムにおけるモデルベース情報損失補償

摘要

インターネットの発達により，ネットワーク化制御システム（NCS：Networked Control System）による遠隔制御が注目されている．しかしNCSにおいて，ネットワークで生じる通信遅延や情報損失の影響による制御システムの性能劣化や不安定化が問題となっている．本稿では，モデルに基づいた情報損失補償手法を提案し，通信遅延補償手法と組み合わせることで，通信遅延や情報損失に影響されない高精度なNCSを実現する．まず，モータの位置制御システムと外乱オブザーバ（DOB：Disturbance Observer）に基づくロバスト制御技術について説明する．そして，従来の通信遅延や情報損失を補償する手法について紹介し，情報損失発生時にモデルベース制御に切り替えることで高精度な遠隔制御を実現する提案手法について説明する．最後に，モータの位置制御システムに関するシミュレーションおよび実験を行い，モデルベース情報損失補償の有効性を示す．