通信規模を考慮した信頼性評価法の検討－評価手法の検証と活用方法について

摘要

昨年の東日本大震災でも明らかになっているように，災害時の通信確保に対する社会的要求が高まっている．通信事業者では，災害時に強い通信ネットワークの実現に向けた対策に取り組んでいる．このような対策を効果的に実施するためには，その効果を事前に把握する必要がある．すなわち，災害を想定した通信ネットワークの信頼性評価が必要となる．しかしながら，従来のグラフ理論に基づく信頼性評価法は，主に偶発故障を対象としており，通信ネットワークの正常性の確保を重視した手法となっている．そのため，大規模故障や自然災害等が発生した場合のように，正常性を確保することが困難な状況における信頼性評価には適していない．そこで，本稿では，通信ネットワークの正常性の確保が困難な状況に適した信頼性評価方法として，通信ネットワークの通信能力がどの程度期待できるかを考慮した評価指標を用いた方法を提案する．さらに，その妥当性·有効性と，実際の活用方法についても示す．