旅行者の写真撮影促進に着目した街歩き支援システムの構築

摘要

生活圏から離れた場所へ赴く旅行は，それ自体が人々の生活の楽しみである．従来の旅行は，観光地や行楽地，歴史的建造物などを目的とした目的地志向型の旅行が主流であった．これは，旅行者がその土地の名所の観光に価値を求めていたためである．そのため，旅行者は地図やガイドブック，Webページなどから目的地の情報を手に入れ，効率的に名所へ移動できる計画を立て，それに沿って旅行していた．一方近年では，「街歩き」という旅行形態が注目されている．街歩きとは，旅行者が街を歩きながら，その地域でしか得られない発見や体験を求めて，主体的に行動し旅行を現しむものである．基本的な移動手段が徒歩であるため，旅行者自身の好みに合わせて自由気ままに街並みや地域を見て回ることができる．このように，目的地志向型である従来の旅行と街歩き旅行では大きく性質が異なる．そのため，街歩きの経験の少ない旅行者が，自身の力だけで街歩きを楽しむことは難しいと考えられる．そこで，本研究では，このような旅行者を支援するシステムを構築し，そのシステムを実際に使用した際の旅行者の行動を分析し，システムの有用性を検証する．