機械学習を用いた喉頭摘出者音声を対象とした無声摩擦音の補完

摘要

喉頭がんなどにより失声した喉頭摘出者が用いる電気式人口喉頭による発声や，食道発声などの代用音声は，訓練により日常生活で十分なレベルの発話が可能になる．しかしながら喉頭を摘出したことにより，無声声門摩擦音や無声両唇摩擦音などの声門で調音する音が発声できない．これにより，単独母音と聞き間違えることが多くなり，円滑なコミュニケーションを妨げる大きな原因となる．そこで我々は，喉頭摘出者音声の音声認識を目標として，発話されない音素を言語モデルの前処理の段階で補完するため，自由会話書き起こしテキストを用いて単独母音音節/音素補完音節の同定実験を行った．着目する音節の前後のコンテキストを用いることで良好な結果を得た．