第1章 2Gから3G，3.5Gを経てLTEへと至る技術開発の道程：3.9G携帯電話への道

摘要

最近の携帯電話は，スマートホンやタブレットといった新しいコンセプトを持つ端末の登場と普及により，さまざまな活用方法が提案されるようになってきました．個人での使用にとどまらず，企業でのビジネス用途，教育，医療，エネルギー分野での活用など，さらにその可能性は大きく拡がろうとしています．そしてその下支えとなっているのが，いつでもどこでも誰とでもつながることを可能にしている無線通信の目覚ましい進化です．モールス信号から始まった無線通信は，数々の先人たちの弛まぬ研究開発の成果により，音声，テキスト·データ，ストリーミング·データと次第に大容量データを高速かつ安定的に伝送することを可能にしてきました．また，ネットワーク側も音声電話を前提とした「回線交換」からインターネットによるデータ通信を前提とした「パケット交換」が中心となり，さらには「クラウド·サービス」と呼ばれるネットワーク側でのデータ管理運用サービスが拡大してきています．本特集は，もはや私たちの生活にとって欠かせない存在となった携帯電話の無線通信技術の発展と，その品質を保障するための試験測定に焦点をあてて解説します．