モータ駆動回路におけるハイ／ロー·サイド素子の短絡対策

摘要

図10-2に，モータ駆動回路におけるハイ／ロー·サイド素子の短絡対策について示します．これは，PチャネルMOSFET（ハイ·サイド）とNチャネルMOSFET（ロー·サイド）をペアで使用した場合の小型モータ駆動出力回路の一部で，ハイ·サイドがOFF状態，ロー·サイドがチョッビングしている動作状態を示しています．図10－2(a)において，Tr{sub}2がONすると(A)点の電圧波形はV{sub}(DD)→0Vに変化します．この(A)点の電圧変化dV{sub}(ds)/dtにより，Tr{sub}1のC{sub}(iss)→C{sub}(rss)を通じて過渡的な充電電流が流れ，図10－2(b)で示すようにTr{sub}1のゲートソース間電圧の変化，△V{sub}(gs)(t)＝｛G{sub}(rss)/(C{sub}(iss)＋G{sub}(rss)｝△V{sub}(ds)(t) のピーク電圧が発生します．この△V{sub}(gs)(t)のピーク電圧がTr{sub}1のV{sub}(th)を越えると，ハイ／ロー·サイド素子が同時にON状態となり，アーム短絡現象を生じて過大な損失を発生させます．Hブリッジや3相ブリッジ回路の場合，ほかのアームでも同様にこの現象が発生します．