異方性電離層の雷空電への影響と落雷位置推定誤差改善への応用

摘要

従来，大地－電離層導波管内のVLF波伝搬において異方性電離層の影響で東側伝搬と西側伝搬ではその反射係数が異なることが定性的に知られているが，VLF帯の雷空電を用いた落雷位置推定に対しどのような影響があるのかは十分に議論されていない．そこで本研究では，雷空電の一地点観測による落雷位置推定法に対する異方性電離層の影響を定量的に解析した結果を報告する．特に，異方性電離層の入射角に対する反射特性について解析したところ，緯度に係わらず入射角が小さいとき（約30度以下），その値は大きく変化も安定しているが，入射角70度付近では極端に反射が小さくなることを明らかにした．そして我々は，この電離層反射特性を考慮し，落雷位置推定の誤差改善についても議論した．