2次元電界分布を用いた3次元SAR分布推定法

摘要

IEC，IEEE，ARIB，CENELECにより，携帯電話等の無線端末から放射され人体へ吸収される電磁波のSAR測定法に関して，測定手順，条件が詳細に定められている．これらの測定法に従ってSAR測定を行う場合，正確な測定結果を得るために多くの手順が必要であり，結果として測定時間が長くなる要因となる．そのため，従来，測定時間の短縮を目的として，SARを推定により算出する方法に関して幾つか報告がなされている．しかしながら，これらの推定手法は測定した電界の2次元分布を用いて3次元SAR分布を経験的もしくは近似的に推定するものであるため，樣々なSAR分布に対応することが困難である可能性があり，結果としてSAR測定精度低下の要因となると考えられる．本論文では，測定した電界の2次元分布に対してマクスウェルの方程式および等価定理を適用することにより理論的に3次元SAR分布を推定する手法を提案し，数値計算によりその妥当性について検証を行った．その結果，提案手法により測定精度を損なわずにSARを推定することが可能であり，提案手法はSAR測定時間短縮のために有効であることがわかった．