高純度マグネシウム蒸着装置の開発と被覆したAZ31Bマグネシウム合金の密着性および耐食性の評価

摘要

実用化を目指して作製した真空蒸着装置において，基板であるマグネシウム合金上に高純度のマグネシウムを被覆することができた。 基板の温度を変化させ，蒸着を行ったところ，基板温度323～523Kにて蒸着膜が形成した。 基板温度が低い場合，蒸着膜は六角形のファセットが重なり合うポーラスな組織であったが，基板温度を上昇させることにより，欠陥のないち密な膜が得られた。 またチ蒸発源温度や蒸着時間により，膜厚を制御することが可能であった。 蒸着膜は銀色で,表面には反射率の高いファセット面が形成していた。 蒸着膜は，基板に対し垂直方向に柱状な粒子が成長していた。 欠陥のないち密な膜が形成され，180°曲げに耐えうる密着性が得られた。 真空蒸着法により作製したマグネシウム硬覆材は，純度99.9999％のマグネシウム以上の高耐食性を示し，蒸発源にマグネシウム合金を用いた場合も同様であった。 大面積試料への蒸着では，250×250mmサイズの基板において，半径100mmの領域に均一な膜厚の被覆が可能であった。