各種アルミニウム合金上への無電解Ni-Pめっき皮膜の密着性に及ぼすジンケート処理の効果

摘要

各種アルミニウム上への無電解Ni-Pめっき皮膜の密着性について，ジンケート処理の効果を検討した結果，各合金ともに2回ジンケート処理によって密着性は著しく向上した。その際，析出する亜鉛は1回ジンケート処理のそれよりも薄く均一になることから，亜鉛の析出形態と密着性は密接に関連していることがわかった。2回ジンケート処理での亜鉛の析出形態の変化には，1回ジンケート処理＋5％硝酸浸漬後の最表面に残存する金属状態の亜鉛が重要な働きをし，この亜鉛は1回ジンケート処理後，アルミニウムとの拡散によって生じると推測した。こうして極表面のAl-Zn合金層が，表面に生成する酸化皮膜を均一にするとともに脆弱化し，不動態化を抑制することによって2回ジンケート処理では，この脆弱な酸化皮膜が均一に溶解し，次いで起こるアルミニウムと亜鉛の置換反応も瞬時に終了するため，薄く均一な亜鉛皮膜が形成されると推測した。