Al-Mg-Si合金押出材の二段時効特性

摘要

Al-Mg-Si系合金は代表的な熱処理型合金であり，溶体化処理後に人工時効すると強度が上昇する.本合金は溶体化処理後から人工時効を開始するまでの問に，室温で保管（以下，自然時効と称す）すると，人工時効後の強度が変化する複雑な時効挙動を示すことが知られている。自然時効により人工時効後の強度が上昇する現象を「正の効果」，逆に強度が低下する場合は「負の効果」と呼ばれており，マグネシウムおよびシリコン添加量の多い高濃度合金では負の効果が，添加量の少ない低濃度合金では正の効果が生じやすいと報告されている。これらの報告では，自然時効条件との関係は明確になっていなかったが，最近,自然時効の温度により「正負の効果」が変化することや短時間の人工時効であるベークハード性と自然時効条件との関係などが明らかにされた。 しかしながら，それらの研究において調査された合金組成は限定的なものである。 そこで本研究でほ，マグネシウムおよびシリコン添加量を広範囲に変化させたAl-Mg-Si系合金押出材について，自然時効温度および時間を管理して2段時効を施し，自然時効による正。負の効果について検討した。