バイオシステムから発想した分子認識機能膜のシステム設計

摘要

材料に要求される機能は複雑化し，一つの素材で表現できる単純な機能では社会の要求に応えることができなくなっている．現状の工業材料では，組織の柔軟な組み替えおよび自己修復が不可能であり，単純にいつでも，どこでも一定の性能を発現するに過ぎない．将来の，他品種少量生産を省エネルギーに行う医薬品合成プラント，生体の変化に応答した複雑な機能を要求される医療材料·人工器官といった分野を考えれば，用いる材料に根本的な変草が迫られる．我々は，材料の中をシステムとして捉え，要求性能を各素材に分担 みB結·協調させ，全体として複雑な機能を発現する材料システムを構築する「機能材料のシステム設計論」を提案している．材料として必要な複数の機能をシステム全体として表現する．このとき，生体システムが参考になる．生体システムを単純化して理解し，その本質的に有効な分子認識性，協調性·自己組織化能力を有する人工材料システムを構築する．