〔シリーズ：どこまで行くのか、風力？〕(13)－風力発電量予測技術

摘要

我が国では、エネルギー源の多様化によるエネルギー安定供給の確保や地球温暖化対策に資する重要なエネルギーとして、風力発電をはじめとする新エネルギーの導入促進が積極的に図られている。平成13年6月に取りまとめられた新エネルギー部会報告書では、平成22年度における新エネルギー導入目標量が示され、うち風力発電の導入目標は300万kWとされた。 風力発電は、風況の変動に伴いその出力が大きく変動する。近年、風力発電の導入の進展に伴い電力系統への連系が増大するにしたがって、電力需給のインバランスが発生し電力系統全体に波及する周波数の乱れの問題が懸念されている。我が国の風力発電導入量は現在世界8位であり、地域によっては欧州と同じ導入レベルに達している。 平成17年度中に北海道電力管内では風力発電導入量が系統容量の約5％に達する見込みであり、電力品質維持が困難となる可能性が出てきたため、当該地域において風力発電の導入に対して制限が設けられている。 経済産業省がまとめた風力発電系統連系対策小委員会の平成16年度中間報告書によれば、電力系統安定化対策として7つのオプションが挙げられており、その7番目のオプションとして気象予測に基づく風力発電量予測システムの導入が検討され始めた。 一方、風力発電の導入が多い国であるデンマーク、ドイツ、スペインなどでは既に電力系統の安定運用のために風力発電量の短期予測が行われてきている。 本稿では現在国内外における風力発電予測の現状を紹介し、今後日本において風力発電量予測を行う際の技術課題とその将来展望について述べる。