化学物質の生物濃縮性評価化審法における濃縮度試験法

摘要

生物が，外界から取り込んだ化学物質を環境中よりも高い濃度で生体内に蓄積する現象を生物濃 縮と呼ぶ。生命維持に直接関係のない化学物質が 生体内で濃縮されることにより，生物の生存や繁 殖に悪影響を及ぼすことがある。食物連鎖を通じ て，栄養段階の高い生物でより高い濃縮性が認め られることもあり，その影響はさまざまな生物に 広がる可能性がある。人がこれらの生物種を食物 として摂取することで，健康障害等を引き起こす可能性も考えられる。1950年代半ばに発生した水俣病は，有機水銀化合物が濃縮された魚を水俣湾沿岸部の住民が摂取したことにより発生した。