小笠原·世界遺産登録に向けた課題と対策

摘要

小笠原諸島は東京から1000km南にある絶海の孤島である．北から順に聟島列島，父島列島，母島列島からなる小笠原列島，その南に北硫黄島，硫黄島，南硫黄島からなる火山列島，それに日本最東端の南鳥島，日本最南端の沖ノ烏島からなる．一度も大陸と地続きになったことのない海洋島であり，その生態系の特異さは突出している．まず，小笠原では固有種の占める割合が非常に高い．シダ植物の32％，草本植物の26％，木本植物の70％が固有種である．移動力の弱い陸産貝類では実に90％以上が固有種であるし，移動性の強い鳥でも小笠原の陸鳥は固有種又は固有亜種が80％だという．昆虫でも，双翅目ユスリカ科で65％など．固有種が多い．