兵庫県南部地震--住宅営業設計士·K

摘要

この連載を書いている最中、関西に住む友人から、NHKテレビ《かんさい想い出シアター》のビデオが送られてきた。 タイトルは〔新日本紀行〕『丘に上がった神戸-兵庫県神戸市』。今から37年前、1969年（昭和44年）6月に撮影された記録映画である。 本誌で連載中の『兵庫県南部地震』執筆に参考になるのではないかということと、地元·関西しか放映されていない映像であろう、との配慮からである。 1969年と言えば、大阪万国博覧会'70の前の年である。 日本の経済は'高度成長'を突っ走り、全国津々浦々にわたり、ブルドーザーの音が響いた。 とりわけ、万博会場に隣り合わせた神戸はその中心地であった。明治元年、神戸の人口は3万3千人、万博の前の年は、40倍近くの125万人に膨れ上がっている。 標高900メートルの六甲山系は海に迫っており、沖積土から成り立つ平地は極端に狭く、過密都市を解決するためには、丘陵地を削り取り、海を埋め立てるといった'大手術'を施さざるを得なかった。