現代左官事情 ＜その70＞/「建築と左官」--18．高知県 高岡郡佐川町②

摘要

国道33号緑から佐川町中心部へ入ると急に道が狭くなるが、この旧街道に、仁淀川がある。そこでの名水から銘酒「司牡丹」が造られ、その銘酒の製造元である土蔵が道の両脇に並ぶ。土蔵の壁は土佐漆喰で仕上げられており、水切り瓦が見られる。水切り瓦は、雨の多いこの地で壁面に水掛かりを防ぐ工夫で、土蔵の耐久性を増すものであるが、さらに権威の象徴が大きな要素となる。しかし、佐川の土佐漆喰の仕上げ手法は、安芸や南国市に見られる荘厳な装飾に満ちたものがあまり見られない。水切り瓦、海鼠壁の仕上げは最小限の表現であり、機能重視で造られていることがわかる。これら四国の建築の特徴は、本誌2009.2月号“「四国村」で塗り壁のぬくもりに触れる”に詳しく書かれているので参考にされたい。