超微量海産神経毒シガトキシンCTX3Cの全合成

摘要

はじめにシガトキシン類は，熱帯?亜熱帯海域で年間2万人以上の中番患者が発生する他界敢大規模の魚介類による食中毒シガテラの原因物質である1）。 電位依存型ナトリウムチャネルに結合して極微量で強力な毒性を発現し，構造と活性の両面から非常に注目きれている分子である?シガトキシン類の中でもCTX3C（1）は食用魚に多く含まれることが知られており，毒魚検定法ヤ解毒法の開発が社会的にも強く要請されている?　 しかし，天然から極微量しか得られないためシガトキシンに関連する研究は立ち遅れてお古?），全合成による供給が望まれている。 CTX3Cは，13偶のエーテル環が梯子状に連なっており，分子長が3ナノメートルにも達する分了濁1000を超える巨大分子である?このようなナノスケールの分子構造を30佃の不斉中心を立体制御しながら構築することは，合成化学的に非常にチャレンジングなテーマである。 シガトキシン類は，他の梯子状ポリエーテル天然物と同株に多くの合成化学者の興味を集めているが5￣7），特に日本の研究グループ，佐々木ン橘針磯部9），藤原一村井10）らにより活発に研究が行われている。 筆者らは，閉環オレフィンメタセシス反応11）（以降RCMと略す沌駆便した高度に収束的な合成戦略に基づいたシガトキシンCTX3Cの最初の会合成を達成することができた（スキーム1）1封。 本稿では，筆者らの研究成果を中心に以下にその概略を述べる13）。 （なお，化合物中の炭素番号はCTX3Cに準じた）