C-H挿入反応を基盤とする生物活性天然物の合成

摘要

筆者は，卒研生として北海道大学理学部の松本·白濱研究室に配属以来，一貫して生物活性天然物の全合成研究に従事する幸運に恵まれている。また，2005年に静岡にて独立した研究室を構えた際，分子認識や触媒的不斉合成といった華やかな分野にも新しく手を広げることも考えたが，やはり天然物合成から逃れられず同じ研究を25年近く続けている。しかし，最近では，薬学に在籍する教育研究者として，標的としては有望な生物活性を有するヘテロ環化合物を選ぶように心がけている。