ラインパイプ用高性能UOE鋼管の開発

摘要

近年，パイプラインに対しては，高圧化や低温環境下·腐食環境下といった厳しい使用条件，さらには地震地域や海底での長距離ラインパイプの敷設にともなう外力を想定したひずみベース設計の普及といった新たな需要家の要求がでてきている。その結果，パイプラインに求められるパイプ性能は，高強度，厚肉，低温じん性，高変形，耐サワーといった性能が複合仕様として付加される傾向が高まっている。この傾向に対応するため，JFEスチールでは素材厚板のTMCP （Thermo-mechanical control process）設備の増強やオンライン加熱装置（HOP: Heat Treatment Online Process）の適用拡大，さらには鋼管製造設備の増強といったプロセス開発を通じて（図1にAPI X80 （API：アメリカ石油協会）の鋼管の製造範囲を示す），需要家の新たな要求をみたす商品を開発し，複合仕様に適応できるUOEラインパイプ商品メニューを拡充した。本稿では，（1）ひずみベース設計に対応できる高変形鋼管のコンセプトと高強度高変形鋼管，（2）極厚の海底管，（3）高強度X80厚肉鋼管，（4）高強度X70耐サワー鋼管，（5）とくにHAZ（溶接熱影響部）じん性のよい高強度X70厚内鋼管といった複合仕様を満足できるラインパイプ商品について鋼管の性能を中心に紹介する。