原油市況長期下落でジリ貧化進む燃料油マージン

摘要

原油市場では持ち直すかにみえた原油価格が再び下げモードに突入，為替相場は日米金利差拡大の観測から，ますます円安が進み，原油コストは方向性が定まらない状態だ。11月16日からの11月第4週では，原油安が勝り1～1.5円の仕切下げ，23日からの第5週では円安の勢いが上回り，1円未満のコストアップの流れとなっている。ここにきて，OPEC総会での減産合意の可能性も浮上，原油安にもブレーキがかかり始めてきたが，本格上昇に転じるかは不透明。WTIとドバイで75ドル台，ブレントで80ドル前後まで下げた原油市況が，この先どう動くかはOPEC絆会得ちといったところか。国内市場では，この原油続落に伴い，元売仕切や海陸業転が7月後半以降の長期値下がり局面にあり，11月下旬までに仕切価格は10～15％（9～15円）も下落。ガソリンを中心に系列仕切と陸上業転との価格差も拡大傾向にある。実質的な精製マージンも低下し，SSや産燃ディーラーも，先取り値下げなどの過当競争で苦戦を強いられている。シーズン入りした民灯も先安感などから出荷は低調で，卸業者は冬本番まで我慢の商戦。SS店頭では値下がりによる需要戻りも伝えられるものの，マージン面では油価下落がプラスに作用していない。前半の上昇局面から後半は長期下落に一転した今年の原油価格。業界はその激しい揺り戻しに，うまく対応できたとはいえないだろう。