大勢通関CIFリンク仕切方式に訣別したLPガス元売の動向

摘要

LPガス元売各社は相次いで4月分の仕切価格から新仕切価格体系に移行することを発表した。 発表した元売はすべてCPリンクー本の仕切体系にするというもの。 これまでも元売がCPと為替レートの変動に応じた仕切価格改定幅を公表してきたのは周知のとおりだが，今回の新仕切体系への切替えというのは，CPリンクの仕切もあったことはあったが，そのはかに通関輸入CIFリンクがあり，それも前々月や前月CIF価格リンクが混在しており，それらが正確なコスト変動を反映せず，元売各社の経営状況を悪化させる大きな要因となっていたためだ。 これをとにかくCPリンクー本としたいというのが元売の悲願であった。 仕切価格の多元制とでもいうべき姿がネックとなって，値上げが容易に下流に浸透しない，コストアップが値取りに反映されない等々の元売疲弊の大きな要因となってきた。したがって，今回の新仕切体系では「基地経費や出荷チャージ等諸経費に適正なマージンをちゃんと確保しないことには，もう元売経営は成り立っていかない」との切実な思いが込められている。 LPガスがクリーンで簡便で災害にも強い，分散型エネルギーの雄であることはいうまでもない。 しかし，このLPガスの供給元である元売がわずかに0.34％という超低水準の経常利益率にとどまっているのでは，供給の安定化を図っていくためのタンカーやタンクに対する投資は不可能である。 自由化が進行する競合エネルギーにどんどん浸食されていったのでは，日本のLPガス産業そのものが崩壊しかねない。そんな危機的状況に産業総体が追い込まれているのである。