一段と高まる原油高騰のリスク石油業界は乗り切れるか

摘要

編集部―原油価格は4月に入って軒並み史上最高値を更新。 WTIは期先物が一時60ドル／バーレルを超え，ドバイも50ドルに乗せるなど，とどまるところを知らぬ勢いだ。OPECは3月中旬の総会で即時50万＋追加50万バーレル／日の増産を決定したが，原油市況を冷ます効果はなかった。中東諸国の情勢不安，生産余力がない産油軋　 中国等アジアの石油需要増，米国の精製能力不足，活発な投機的取引などなど，原油価格を押し上げた要因はいずれも構造的なものばかり。 歴史的安値から史上最高値へ。 わずか数年で激変した石油情勢は，日本と世界の今後に暗い影を落としつつある。国内では，この驚天動地たる原油高騰に対して，新年度入り早々から，卸·末端·ユーザー価格へのコスト転嫁が展開されている。 既に，2月分から始まった仕切値上げでは，3月分と合わせ3円以上の転嫁が未達のまま，4月打ち出しとの累計では，実に「1月比＋8円／l」という額にまとまり，これを転嫁するディ―ラーも転嫁されるユーサーも等しく匪憊困惑の体。 ガソリンだけは何とか「120円／l」以上の市況構築に成功したかにみえるが，5月には更なる追加値上げも予想され，石油業界と産業需要家への影響，一般消費者の不安は一段と強まりそうだ。