円安≦原油下落でコストジリ安＋需要不振で産燃油市況軟化気配

摘要

急進した円安は3月に入るとキプロス支援を巡る混乱から再びEUの金融不安が高まって下げ止まったが，4月4日に日銀が予想を上回る金融緩和策を決定すると，再び大きく円安に振れ出した。一方，ヨーロッパ発の景気減速懸念にアメリカのシエール革命やOPECの増産継続もあって原油在庫は高水準が続いており，4月に入った原油市況は一気に弱含んできたようだ。国内石油市場は2月以降　西日本の高い気温推移もあって一段と深刻な需要不振に陥っており，余剰玉や期末の処分玉が溢れる中，円安を上回る勢いの原油市況反落で新年度の石油製品市況は弱含み始めている。2月までの大幅な仕切上昇局面では，ガソリンの需要不振が続くSSリテール部門は販売競争が強まり，転嫁未達となる地域が少なくなかった。産業用燃料油市場でも需要不振による需給緩和の影響で安値玉が増え，不況業種向けほど月決め以上の長期契約分の転嫁が遅れ，年度末3月の値取りは停滞した。3月後半には転嫁未達のまま仕切やスポット価格が軟化して値取り意欲が急速に衰退，3月前半に80円／lを上回りつつあった中間三品大口安値市況も，3月下旬の新年度官公需入札あたりから80円／月を大きく下回る安値が続発する市況情勢となったが，続く4月分価格交渉でも下げ気配濃厚で，新年度は厳しいスタートとなっている。