関西で474億円，九州で307億円削減原価単価を33銭，36銭圧縮して認可－関西電力と九州電力の5月分新料金単価表

摘要

関西電力と九州電力が経済産業省に申請していた料金値上げは4月2日，原価を大幅に圧縮した内容で認可された。自由化部門の料金は査定原価で見直したうえ，予定どおり4月実施となったが，規制部門は申請より1カ月遅れの5月実施となった。経済産業省が電気料金審査専門委員会や消費者庁の意見を取り入れて査定した原価は，物価問題に関する関係閣僚会議で了承され，認可原価による修正が両電力に指示された。その認可原価に基づき再提出された値上げ申請が2日に認可されたもので，小売対象原価の削減額は関西が474億円，当初申請の1．77％，九州が307億円，当初申請の2．05％にあたる。関西の474億円は人件費の112億円とその他の114億円，燃料費の97億円で7割近くを占め，九州の307億円は燃料費の104億円と人件費の82億円で6割強を占めているように，査定は人件費と燃料費に集中している。この査定の結果，原価単価の変化（現行→申請→認可）は，関西が16．00円／kWh→18．52円→18．19円，九州は15．80円／kWh→17．58円→17．22円となり，上げ幅は関西で33銭，九州で36銭それぞれ圧縮された。値上げ率は関西が15．75％→13．69％へ，九州が11．26％→8．98％へ縮小した。このうち認可された規制部門の平均単価は，関西が20．50円／kWh→22．93円→22．49円に，九州が19．90円／kWh→21．59円→21．14円に縮小し，値上げ率は関西が11．88％→9．75％へ，九州が8．51％→6．23％へ縮小した。しかし，新料金は現行料金より大幅に引き上げられたことに変わりはない。認可原価を前回改定時の20年届出原価と比較すると，小売対象原価は関西で2，370億円（9．90％）増え，九州で1，010億円（7．40％）増える。そのうち燃料費の増加が関西で4，076億円，九州で1，552億円にもなり，値上げの原因が運転停止に追い込まれた原子力発電の代替用費用にあることを浮き彫りにしている。