エネルギー輸出大国となった米国（2）1,100万バーレル／日を超えた液体燃料生産

摘要

米国の原油生産量が急激な勢いで伸びている。2012年のそれは650万バーレル／日だった。しかし，同年11月には早くも700万バーレル／日に到達した。だが，これも大増産過程の単なる一つの通過点でしかなかった。2013年3月には715万バーレル／日，4月半ばに720万バーレル／日となったと思ったら，5月第1週には737万バーレル／日にもなった。掘削技術は完成しており，シェールオイル層の位置もわかっている。原油市況は一時下がり始めたが，また持ち直している。天然ガス換算で22.32ドル／百万Btuの高値だ（天然ガス4ドル／百万Btu）。在来型油田掘削の成功率は「千に三つ」だが，シェールオイルは「百発百中」。オイルラッシュにバッケンもイーグルフォードもパーミアンも人口急増。全米から来た屈強な男たちがマンキャンプに溢れている。これらの地域の失業率は1％にも満たない。住宅もレストランも病院もホテルも足りない。ディベロッパーたちも集まってくる。地元経済は潤い，州や町の税収も急増している。環境保護派の人々からは様々な環境破壊の実例も指摘されている。「尻尾のない牛」も生まれている。水の著しい汚染も進んでいる。地震の多発も懸念されている。しかしながら，「経済の急成長」の前にこうした声もかき消されてしまう。「米国の経済発展とエネルギー自立を目の前にして何で邪魔をするのか」。昭和30年代の「永俣病公害」を想起させる。三里塚もそうだ。今になって「なんであんなアクセスの悪いところに国際空港を造ったんだ。羽田を拡張すべきだ」という。「日本が豊かになるためだ」として，沖縄県民が犠牲にされ，金をばら撒いて原発を造る。そんな論理が「民主主義国アメリカ」でも罷り通っている。このシエールガス·オイルの生産は減退率が著しいのが特徴。2年も生産すると当初の半分以下しか油が出てこなくなる。次々と頑強なシエール層を「穴だらけ」にしてしまう。その行きつくところをしっかりと見極めなければならないだろう。