4～5兆円も増えるエネルギー輸入額妨害してはならないその完全転嫁

摘要

日本の一次エネルギーの輸入額が大幅に増えている。 米国から始まった原油の暴騰を反映したもので，今年度の輸入額は前年度から4兆円～5兆円以上も増えそうな状況になっている。 この輸入エネルギーの大幅な値上がりに伴うコストアップは，もともと企業努力で吸収すべき性質のものではないはず。 コストの増大を極力抑えることが企業経営者の美徳とされてきた理念は，一次エネルギーの輸入価格にはあてはまらない。この膨大なコストの転嫁に失敗し疲弊した企業や業界が出現すると，ようやく好転し始めた日本の実体経済が，また後退してしまう懸念がある。エネルギー価格の急騰は，もちろん日本だけの問題ではない。 米国の原油暴騰をきっかけにした一次エネルギーによるコストアップは世界的規模で進んでいる。 このため，このコストアップを末端価格まで適正に転嫁することも，世界的規模で進められる必要がある。 それでどうにか，実態経済が正常に回転することになると考えられる。 原油の暴騰は永久的なものではない。 いずれ安定するはず。 たとえ高値で安定しても，そのコストを適正に広く転嫁できれば，経済に歪は発生しない。 しかし日本の場合でも，現状は理想的な状態からは程遠く，今後の企業業績や景気動向が懸念される。米国を中心とした一部の資産家などによる投機的資金によって仮想現実的に暴走した原油相場に対しても，びくともしない実体経済を維持するには，暴騰したコストの完全転嫁しかありえない。 誰もそれを妨害できないであろう。