「LPガス国際セミナー2005」抄録（3）

摘要

今回は国際的に著名なエネルギー調査会社であるパービン＆ガーツの副社長，ケン·オットー氏の基調講演「世界LPガス市場の概観」を掲載する。 K．オットー氏は既に日本ではお馴染み。 この過去のセミナーでも何度か基調講演を行っている。 地域別のLPガス需要とその分野別傾向の詳細な分析，更には産ガス各国のLPガス生産計画等の調査から近未来の需給状況を予測して，それをこの産業の関係者に提供してきた。 今回の氏の講演は，LPガス需要でもその分析の中心をアジアの家庭業務用と欧米の石油化学用に置き，それらがともにそれぞれの地域でなお急増していくことを示した。 とりわけ，天然ガスの供給が米国において減少していき，今後も高値展開が避けられなくなっている事実を示し，この数年はやや需給は軟化するものの，それは一時的なものであり，基本的にLPガス市場のタイト化は続くことを説得力をもって語った。 産ガス国，特にサウジアラビアにおいても石化用の需要は増加，中東全体ではLPガス輸出アベイラビリティは増大するものの，サウジの輸出は減少していくことを言明した。 したがって，スエズ以東市場は今後も供給は不足，その分をスエズ以西市場から補わなければならない，とした。 このことは我々の将来にとっては厳しいことではあるが，より一層グローバル化が進むLPガス市場でどうわが国の供給と価格の安定性を確保していくべきかの対策確立を迫るものであり，まさしくこのセミナーの主旨に適う問題を氏が提起したといえるのである。