12月の急増で2010年米国石油需要は一気に1,920万バーレル／日に

摘要

米国の石油需要が大幅な改善をみせている。ここ2週，つまり12月第2週，第3週の需要がついに2,000万レルバー／日を突破したのだ。冬場の気温が低下すれば石油本来の暖房用需要が大量に発生するため，増需となることに何の不思議もないが，それでも週ベースで2,000万バーレル／日超というのは，2009年1月の最終週以来のことだ。しかしながら，昨年12月に入っての2,000万バーレル／日突破は寒さのためだけというのではなさそうだ。背景としては2008年9月のリーマン·ショック以来続いていた景気の大幅な低迷から米国経済がようやく抜け出したことが，大きな要因といえそうなのだ。とりわけ，昨年夏からはディーゼル需要，それもオン·ハイウェイの起低硫黄ディーゼル（ULSD；Ultra Low Sulfur Diesel）の需要が著しく伸びており，主としてトラック燃料に使用されるこの油種の需要増加は経済動向を直裁に反映するものといわれている。これに加えてこの10月以降回復が顕著となってきたのがガソリン需要だ。ガソリンはいうまでもなく車社会米国の需要中心油種であり，その需要構成比率は46～48％にも及ぶ。これが低迷していたのでは，いくらディーゼル需要が伸びてもガソリン低迷の陰にトータル石油需要が隠れてしまう。米国のGDPの70％を占めるという個人消費が回復してこそ，初めて石油需要も増加に転じるということなのだ。これまでも世界の石油需要は伸びていた。それは非OECDアジアと中東の大幅な経済成長によるものであり，世界のエネルギー需要，石油需要はリーマン·ショック以後，非OECDアジア諸国と中東諸国が牽引してきた。しかし，ここにきて米既の石油需要が回復してきたことで，世界の石油需要の増加が一段と進むこととなり，これが原油価格をジリジリと高騰させている背景となっているといってよい。OPECが当面の増産を考えていない以上，原油価格100ドル突破もそんなに先のことではなさそうだ。