上昇続いた2009年度原油市況官公需価格も変更契約でジリ高推移

摘要

2008年，暴騰していた原油市況は夏になると金融危機勃発で上げ止まり，続く世界同時不況で一転して暴落となった。2009年は底値からスタートして年間を通してほぼジリ高が続き，2010年に入ると，長引く不況で経済情勢が安定を欠く中，投機筋の思惑などで70～80ドル／バーレル圏内でめまぐるしく乱高下する動きとなっている。国内石油市場は基幹産業の輸出が急激に落ち込んだことなどで大幅な需要不振に陥り，元売各社が減産で需給バランスを回復させようとする中，ディーラー各社が2009年を通して上昇した原油コストを受けて値上がりした仕入れコストの転嫁に苦労している。需要家納め価格は，1年などの長期契約が多い官公需では大口納めの中間三品価格が2009年度当初の40円／l前後から現在まで小刻みに値上がりして60円／l前後に上げてきた。ここ3～4年の原油市況が短期間にめまぐるしく変動する傾向を受けて，官公需の長期契約分では納期途中で契約を変更したり，納期を1カ月～四半期に短く区切って入札を実施したりする傾向も増えている。また，施設の改修や建て替えに合わせて重油·ガス併用ボイラーに替えたり，ガスや電気に燃転したりするケースも多く，A重油などの産業用燃料油納入量は減少に歯止めがかからない状況となっている。