HS4,250円，0.3％HPP5,940円経費増額のLSは予想超える上げ幅

摘要

新日本石油系列の特約店や大口需要家に4月23日（金），今期4～6月分のC重油仕切基準価格，つまり当面の要求価格が伝えられた。騰勢基調を強めた原油相場と円安傾向に変わった為替相場の影響で続騰が予想されていたが，見直し時期を迎えたLSの経費が大幅に増額されたことから，新仕切価格の値上げ幅は予想を超えている。特約店に通告された一般向け仕切基準価格はHS3.0％が53,200円／kl，LS0.3％HPPが59,850円／klで，前期決定価格からの値上がり幅はHSが4,250円（8.7％），LS0.3％が5,940円（11.0％）にもなる。3.0％は2008年10～12月分以来の5万円台，0.3％HPPは当時を上回る6万円弱というレベル。前提コストのうち値下げ要因はタンカー運賃とLS用の重油関税だけ。タンカー運賃の値下がり分は上昇した原油に吸収された。原油の影響はHSで2,800円，LSで3,370円になるほか，原油に連れ高したボンドバンカーで450円，国際価格で300円上がる。為替の影響はHSで1,000円，LSで990円の値上げ。LSはこれに経費見直しの値上げ1,350円が加わった一方，重油関税で70円が軽減される。原油相場は不気味な騰勢傾向をみせている。景気回復期待の大きいニューヨーク先物市場の動きを盾に，新興国の需要回復を背景にしたアジア関連原油のドバイとミナスの騰勢がWTIを上回っているためだ。とはいえ，ゴールドマン·ショックでWTIが一時急落したように，ペーパー取引で相場が形成されている原油には，いつ急変しても不思議ではない不安がつきまとっているわけで，5月末までの相場から目が離せない。また，LSの経費がどう評価されるか，中央価格交渉の結果が待たれるが，JX日鉱日石エネルギーに引き継がれる前での早期決着が望まれる。