50ドル原油時代と石油業界

摘要

編集部－高騰を続けていた原油市況だが，米大統領選を境に弱気相場へと転換。 NYMEX·WTIは10月26日の55.17ドル／バーレルをピークに月末の51ドル台へ急反落，11月入り後も下落は進み11日現在，47.42ドルとなって，約2週間で8ドル近く下げた。 極東向け指標原油のドバイも33ドル台へ，ピークから5ドル以上下がった。 投機筋の思惑から，史上最高値に吊り上がった原油市況だが，NYのピークアウトでこの冬場は価格安定に向かうのか，日本への影響はどうなるのか，引き続き相場の動きに注視したい。 国内では，原油価格の長期上昇に伴い，6月以降2円／ｌを超える仕切上げが3回あり，この間の仕切上げ幅は約8円に達した。 4月の2.5円上げと合わせるとコストアップは10円強にのぼる。 石油販売業者は今年度に入って息つく間もなく，末端転嫁作業に追われているが，ガソリン以外では転嫁の未達や遅れが生じており，収益に悪影響している。 製油所トラブルや業転及び海外製品市況の高騰，灯油在庫積み増しの遅れ，NY相場に連動した東工取先物の高騰など，値上げをサポートする材料は多いが，原油価格の急反落が，11月の2円上げ転嫁にも影響するおそれが出てきた。 量販から自己防衛へ，石油販売業者の意識も変わってきたが，コスト情勢急変が年末市場にどのような影響をもたらすのか，予断を許さない状況だ。