ボンドバンカーC市況の底上げ続く2月積みは史上最高値更新で始まる

摘要

日本のボンドバンカーC重油需要が，昨年10月から落ち込み幅を拡大している。 潜在的な需要は依然として旺盛と考えられるが，日本での供給量が絞られ，市況が割高になっているためだ。 今年1月の平均市況はシンガポールより56ドル／MTも高くなった。 このシンガポールとの市況差が50ドルを超えたのは11年ぶり。 海外のバンカー市況も高値圏にあるが，日本よりは安いため，需要家は積み地を海外へ移している七みられる。 世界的な異常暖冬によって，暖房油の需要が落ち込んでいる。 その対策として，製油所の稼働率が引き下げられ，需要の落ちないバンカーの市況が，減産に伴って世界的に底上げされている。 日本の場合はHSC重油が大幅に減産され，ボンドバンカー向け供給量が絞られているため，市況は2月に入って史上の最高値を更新し，シンガポールとの市況差も60ドルを超える異常事態に発展している。 バンカーC重油はもともと不採算油種との認識が強いため，精製元売各社の供給部門は生産に消極的で，今回のような減産体制を敷いたケースでは，販売部門の要求は抑えられ，供給量は極端に絞られる。 保税輸入も念頭にはない。 その結果，バンカー市況はHSCの内算用業転市況を大幅に上回り，一般産業向けレギュラー価格と肩を並べる水準へ上がっている。原油相場に対する割合も一段と底上げされている。 こうした事態はいずれも異常気象と好調なバンカーの潜在的需要などが発生させた一時的現象とみられるが，一方，引き続き縮小傾向にあるとみられるバージや出荷設備などの供給設備能力が供給量拡大の障害になる可能性もあり，バンカー市況の底上げ状態はまだ続く可能性がありそうだ。 ボンドバンカーC重油の近況を報告しよう。