超臨界二酸化炭素による加硫天然ゴムのケミカルリサイクルへの可能性

摘要

加硫天然ゴムのケミカルリサイクルを目的に，超臨界二酸化炭素を溶媒として，脱硫試薬であるジフェニルジスルフィドの存在下で加硫天然ゴムの脱硫反応を行ったところ，脱硫反応が良好に進行することを見いだした。 本方法を使用済みトラックタイヤに適応したところ，良好に脱硫反応は進行し，得られた再生ゴムは新ゴムとブレンドすることにより，バージンゴムから作製した加硫体の物性とほぼ同等になることを確認し，本脱硫システムが使用済みタイヤのケミカルリサイクルとして有効な技術であることがわかった。 また，超臨界二酸化炭素が脱硫試薬を選択的に架橋ゴム内部に吸着させる役割を担っていることが，本脱硫反応が良好に進行した大きな要因であることをわかった。 本研究では，脱硫反応を目的に，低分子化合物を架橋網目鎖中に導入する手段として超臨界流体を利用したものであるが，このような方法は脱硫反応以外にも応用が期待できるものと考えている。