UBMS法によるDLC膿の特性

摘要

本稿ではUBMスパッタ法によるDLC膜の形成とその特性を紹介した。 硬質コーティングの使用環境は多様であり，用途や目的に応じた材料や製造プロセスをそれぞれ選択しなければ期待した成果は得られない。 非常に幅広い膜特性をとり得るDLC膜の適用検討はより難しいといえるが，環境問題の解決という社会的な要請の中，これまで以上に大きな発展の余地を持っている。 特に自動車部品や一般機械部品への普及が一つのキーポイントと考えられるが，本稿で紹介したUBMS法によるDLC膜は，硬度，摺動·摩擦特性および密着性のバランスに優れ，自動車·機械部品に適用する上で大きなポテンシャルを有していると考えられる。 ただし，この分野では品質管理手法まで含めたDLC膜のトータルシステムとしての確立の他，最大の課題である処理コストの低減が達成されなければならないが，今後もDLC膜のアプリケーション拡大に向けて，装置および材料／プロセス／評価の総合的立場からソリューションの提案をしていきたい。