植物系樹脂塗料の開発と家電製品への応用

摘要

循環型社会の構築に向け，持続可能な資源の利活用の促進が期待されており，家電製品においても環境志向の高まりから枯渇性資源の有効利用が求められてきている。家電製品には化石資源を原料とした多くのプラスチック材料が使用されているため，リサイクル材料あるいは植物由来プラスチック材料など環境調和型材料への代替化が期待されている。 このような状況のもと，筆者らは，廃家電品から回収したプラスチックを家電新製品の部材として繰り返し再生·使用する自己循環型マテリアルリサイクル（クローズドマテリアルリサイクル）の研究をおこないト実用化を展開している。 さらに，植物由来プラスチック（ポリ乳酸）を家電製品へ採用すべく，耐久性，リサイクル性などの特性を改善するために汎用プラスチックとのブレンドの研究を重ねている。本稿では，家電製品の環境配慮性のさらなる向上を目指して，トウモロコシデンプンを主原料とする植物系樹脂塗料を関西ペイント株式会社と共同で開発し，素材への付着性，塗膜の硬さ，光沢，質感など性能向上をはかり，液晶テレビのプラスチック部材に適応する塗装技術を実用化したので概要を紹介する。